ことば学
言葉は心。ことばは人生

25.離婚の話

今から20年近く前のことです。

わたしの友人が、幼子二人を連れて離婚をすると言い出しました。

すったもんだの挙げ句、結局元の鞘に納まることになった時、彼女は、ふとこう呟いたのです。

 

あとは、向こう(夫)が早く死ぬのを待つだけだ

 

ゾッとしました。

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数年後、わたしは結婚生活に耐えきれず少しノイローゼのようになっていました。

その時、ふとこんな思いが頭をもたげてきたのです。

 

向こう(夫)が、事故かなにかで死なないかな

 

次の瞬間、わたしはかつての友人の言葉を聞いた時の自分を思い出しました。

そして、

 

人が死ぬのを待つような人生は生きたくない

 

と思いました。

もしかしたら、それが具体的な現実問題として離婚を考えた最初だったかもしれません。

 

その後、わたしは本当に離婚しました。

39歳でした。

 

例え仕事を掛け持ちしてでも食っていってやる。

まずは、精神的にも経済的にも自立した一人の人間になろう。

 

そう固く心に決めての離婚でした。

 

この話をすると、たいていの人は、「強い人だ」と言います。

そうでしょうか?

誰でも溺れそうになれば、必死で手足をバタバタさせて、なんとか助かろうとするでしょう。

その時のわたしの心境は、まさにそんな感じでした。

 

では、人の強さとはなんでしょう?

離婚するから強くて、将来が不安で離婚できないから弱いのでしょうか?

一人で生きていたら強くて、そうでなかったら弱いのでしょうか?

そうではないでしょう。

完全に破綻している結婚生活を続けられるというのは、わたしから見ればなんと精神力の強い人かと思います。

 

わたしの思う人の強さとは、

 

自分をしっかり持って揺るがない人

 

です。

 

離婚するとかしないとか、人に頼るとか頼らないとか、そんな表面的なことではありません。

弱いから人に頼ってしまう場合もあれば、強いからこそ自分の弱さをさらけ出して人に頼ることもできる。

そうではないでしょうか?

 

今振り返って考えてみると、わたしは強いから離婚したのではなくて、離婚することで強い人間になりたいと思ったのもかもしれません。

 

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投稿日時: 2016年02月23日

カテゴリ: ブログ