わたしは、小さい頃から本を読むのが好きでした。
定期試験や入試などでも、国語の勉強といえば、せいぜい書き取りをしたくらいです。
実力テストの時なんか、
今日はどんな文章に出会えるんだろう~
と、ときめきながら問題の文章を読んで味わい、感じたままを書けば⭕がもらえたのでした。
それも、子どもの頃からの読書のおかげだと思っています。
そんな、わたしの困ったところは、本を読み出すと止められないところです。
本を読み続けたいとう誘惑に負けて、授業中も読み続けると、さて、どうなるでしょう~❓
高校に新しい数学の先生がやってきました。
大学を出たての、新米の男の先生です。
その先生、初めての授業で、いきなり『ケプラーの法則』について話したのです。
当然の結末として、あだ名は” ケプラー “となりました。
その頃、わたしには夢中で読み耽っていた本がありました。
授業なんて上の空。
読みたくて読みたくて仕方がありません。
そうだ! ケプラーの授業なら大丈夫だ!!
ケプラーをなめていたんですね。
とはいえ、完璧に予習をしてはいきました。
一応、筋を通そうと考えたんですね。ものすごく勝手な筋ですけど。
そうした上で、授業中も本を読み続けたのです。
それも本を机の上に堂々と出して・・・
なんとなく、机の下に本を置いて読むのは潔くないと考えたんです。ものすごく自分勝手な考えですけど。
完璧に予習はしてあるので、いきなり指されても答えられます。
わたしは、ますます調子に乗って本を読み続けました。
すると・・・
バ~ン !!
と、突然大きな音が教室に鳴り響いたではありませんか。
さすがにわたしも気がついて、何事かと顔を上げました。
すると、わたしの机のすぐ横に、怖い顔をしたケプラーが。
と同時に、頭にじわ~っとした痛みが広がってゆくのが感じられました。
あれ、もしかして、わたしが教科書で殴られた ?
ようやく事態を飲み込んだわたしは、慌て本をしまい・・・?
いえいえ~、それがその~
なんで、わたしの読書の邪魔をするの? と言わんばかりに、ケプラーを睨みつけたのでした。
恐ろしい !
我ながら、なんという大胆な行為でしょうか ?
ケプラーは、おもむろに言いました。
あとで職員室に来い。
授業が終わり、すごすごと職員室へ行くと、ケプラーが尋ねました。
今、何を読んでいるんだ?
モーパッサンの『女の一生』です。
そうか。あまり、目立たないようにな。
はい。
終わり・・・です、はい。
投稿日時: 2015年10月3日
カテゴリ: ブログ