最近は、テレフォンセンターのようなものもできていて、漢字の説明のマニュアルもあると漏れ聞いておりますが、わたしがOLをしていたころは、そんなものはなく、基本的には本人の裁量に任されておりました。
そんな時代のお話。
その1)
「郎」という字を説明するのに、
小林一郎の「郎」です。
と言って電話を切ったら、向かいの席の同僚が、
小林一郎って、誰?
と聞くのに、
わたしの創作。
要は伝わればいいんだ!
と言い切ると、
いやいや、それじゃぁ、伝わらないでしょ
という目で、じっと見つめられた。
その2)
「宗」という字を説明するのに、
菊正宗の「宗」です
と言って電話を切ったら、斜め向かいの席の上司に、
それってさぁ、お酒を飲む人にしかわからないよね
と呆れられた。
〈 ことば蔵 〉 の初回で、レジの男の子のもの言いに、心の中とはいえダメ出しをしたくせに、わたしもずいぶんなことをしてきたものだ。