驚いたときなどや、相槌を打つときなどに、女性がよく使う言葉に「あら」と「まあ」があります。
新明解国語辞典によると、
「あら」は、
驚いたときに、女性が出す、言葉とも言えない声
「まあ」は、
(女性語)驚いたり、意外に思ったりして、思わず発する声
とあります。
その他の国語辞典でも、同じような解釈が載っています。
このことから、2つの言葉が、とてもよく似た言葉であることがわかります。
なので、
あら、素敵
まあ、素敵
と後ろに同じ言葉を持ってきて使うことが、もちろんできます。
けれど、わたしはこの2つの言葉を、感覚的に使い分けています。
今回、これまで感覚的に使い分けてきているこれらの言葉を、ことだま的に解釈してみようと思います。
「あら」と「まあ」に共通しているのは、「あ」。
「あ」は、≪「はあ」か「ふう」か ≫ のところで書いたように、始まりの音。
そしてニュートラルなエネルギーも持っている音です。
すると、「あら」と「まあ」の違いは、「ら」と「ま」の違いということになります。
「ら」など<ら行>の音は、日本人が英語を習ったときに苦戦した「r」。
口の中で舌をくるっと回転させるようにして出す音であることからもわかるように、変化や流転などのエネルギーを持った音です。
「ま」は、「束の間」と言えば「時間」を、「床の間」と言えば「空間」を表すことのできる言葉。
そして「真ん中」の「ま」。
「ま」は、中心とか本質を表すエネルギーを持った音なのです。
なので、例えば、同じ「素敵」という言葉を後ろに持ってきても、「あら」の場合は、
あら、素敵。でも……
と、その後ろに反対意見を述べるような言葉を置いても不自然にはなりません。
けれど、「まあ」の場合、
まあ、素敵。でも……
は、わたしとしては、少し違和感を感じるのです。
その違和感がどこから来るのか、今まで考えたことがありませんでした。
けれど、今回ことだま解釈をしてみたことで、その違和感は、あるがままを受け入れる「まあ」と、変化を促す「あら」の違いからきていることがわかり、改めて納得できたのでした。