「終わりよければすべて」のタイ旅行 ⑧

さて、今日はお待ちかね? S子さんのやっちゃった話の巻。

 

と、そのお話をする前に、彼女とわたしとゴルフについて少しお話ししておきたいと思います。

 

S子さんは、会員であるゴルフ場のレディース大会で優勝したこともあるゴルフの達人です。

華奢な身体ながらドライバーは飛ぶし、アプローチもパターも、とても上手です。

わたしを初めてゴルフ場に連れていってくれたのも彼女です。

 

わたしがゴルフを始めたのは、今から8年くらい前のことです。

きっかけは、歳をとってからも二人で楽しめる趣味をということで、すでに夫がしていたゴルフを選んだこと。

始めた当初は、たま~に夫に練習場に連れて行ってもらい、

そしてたま~にコーチにレッスンを受ける程度でした。

 

わたしがゴルフを始めたという噂を聞いて、ある日S子さんがゴルフに誘ってくださいました。

 

 

行く?

 

 

と、尋ねる夫。

 

 

うん

 

 

と、答えるわたし。

 

てなわけで、わたくしの記念すべきゴルフデビューとあいなりました。

 

 

初めてのゴルフ場。

そして

なんと

その時初めてドライバーを握ったわたし。

 

え″~

 

あの時のS子さんの悲鳴と引きつった顔は、今でも忘れることができません。

 

つまり、ゴルフに誘って、その場にやって来るということは、当然どのクラブも一通り打てることが大前提。

 

普通は

 

 

 

 

なのに、こやつはドライバーを打ったことがないだと~ ?

今日のゴルフは、いつになったら終われるのやら

 

 

と、その時思ったんだそうです。

 

 

夫も夫です。

 

よくもまあ、「行く?」なんて聞いたよね。

行けるわけないじゃ~ん。

 

 

当然、その日のゴルフはゴルフじゃなかった…

 

あれから8年-

 

 

今でも時々、彼女はその時のことを

 

 

ホントにびっくりしたよね

ティーグラウンドに立ってさあ、

「わ~ ドライバー初めて持った。どうやって打つの?」

って。

一瞬気絶しそうになったよ

 

 

と、愉快そうに話します。

 

ま、仕方がありません。

全部、本当のことですから。

 

 

 

 

その後のわたしのゴルフの腕前はというと、

 

3歩進んで2歩下がる~

 

の繰り返し。

 

 

 

 

あれ以来、彼女には何度もゴルフに連れて行ってもらっています。

そして、ゴルフのマナーやルールもきちんと教えてくれた彼女は、

わたしにとって仲の良い友人であるとともに、尊敬すべき先輩でもあるのです。

(年齢は、彼女の方が10ばかり下ですけど)

 

 

 

 

余談ですが、実はわたくし、2年前になぜかホールインワンを達成しております。

 

打ったボールはグリーンからほど遠いところに落ちたのですが、

その後コロコロコロコロと、

おむすびころりんよろしく転がり続け、そしてカップの中に!!

 

それも初めてキャディ付きで回ったときに。

 

 

フッフッフッ

 

 

ゴルフでは、もしホールインワンをしてもキャディ付きでなければ、

正式にはホールインワンと認めてはもらえないのです。

 

 

 

 

そして、実は実は、なんと昨年、とうとうS子さんもホールインワンを達成したのです。

彼女の場合は、当然ながらちゃんとグリーンを狙って打ってのホールインワンです。

 

わたしたちのゴルフ仲間は10名ほど。

わずか10名の中で2人も、それも女性がホールインワンを達成した、そんなグループ、滅多にありません。

 

なんと、ラッキーなグループでしょう。

 

 

 

 

話が逸れました。

(いつものこと?)

 

 

 

 

昨年の7月にタイ行を決めて以来、ガイドブックを買って、下調べに余念のなかったS子さん。

 

 

実際にタイに出発する頃には、宿泊地であるバンコクはもちろん、

行きたい観光スポットの地図まで頭に入っていたというS子さん。

 

 

 

そんなS子さんが、

 

 

ここだけは絶対に外せない

 

 

と、熱心に語っていたのが、王宮近くにあるワットアルンというお寺。

 

 

夜になるとライトアップされてすっごくきれいなんだって

それを、対岸のレストランから眺めながらのディナー

ステキでしょ?

ステキだと思わない?

ねえ、思うよね!

 

 

 

熱に浮かされたように語る彼女。

 

 

ステキだとは思うけど、そのメンバーがおじさん(A氏)とおばさん(わたし)と(坐骨神経痛の)S子さん。

 

 

 

どうだかなぁ~

 

 

 

なんて心の声は、決して外には漏らさないわたしでした。

 

さて、2日目のゴルフを終えてから、わたしたちは遥々と出かけて行きましたよ、ワットアルンを川越しに眺められるというレストランへ。

 

 

 

わたしたちが泊ったのは、トーンローという駅の近く。

そこからサイアムという駅までは電車。

そして大渋滞の道をタクシーで。

その後は徒歩です。

 

 

 

(☆印がワットアルンのあるところ)

 

 

 

地図が頭に入っているS子さんは、シャカシャカと歩いていきます。

 

 

え~っと、ここまっすぐ行って

あ、そこの道を入るんだ

 

 

確か、坐骨神経痛だったよねぇ…

痛みより、夜景に浮かぶワットアルンへの思いの方が数段優っているのでしょう。

情熱的なS子さんです。

 

 

 

彼女が事前に予約しておいてくれた川沿いのレストランに、無事到着。

 

 

 

 

屋内の席がいいですか?

それとも、外ですか?

 

 

 

ウエイター君が尋ねます。

 

 

 

 

そりゃ、やっぱり外でしょ

 

 

鼻息も荒く、テラス席に陣取るS子さん。

 

 

 

そうだよな

中からじゃ、せっかくのワットアルンがよく見えないもんな

 

 

と応じるA氏。

 

 

 

 

川越しにワットアルンを正面から見ることのできる特等席。

そこに、わたしたちは座ることができました。

 

いい感じです。

 

 

 

 

ほら、あれがワットアルンよ

 

 

S子さんが指さす方に目をやれば、川向こうに確かに大きな寺が見えました。

 

 

 

これから徐々に暗くなっていくでしょ

そうすると、ワットアルンがライトアップされるのよ

夜空に浮かぶワットアルン

ロマンチックでしょ

 

 

 

はいはい。

 

この3人じゃロマンチックのへったくれもないけどね。

 

 

ですけど、せっかく来たのですから、やっぱ夜景は楽しみたい。

 

だんだん暮れゆく空。

 

期待が膨らみます。

 

 

 

そして・・・?

 

 

あれ?

 

 

ん~?

 

 

 

 

ねえ、いつになったらライトアップされるのかな

 

 

 

首をかしげるS子さん。

すでに、日は暮れつつあります。

 

 

 

 

あのさぁ

 

 

と、控えめに語り掛けるわたし。

 

 

 

お寺の回りに、なんか見えない?

 

 

 

そういえばなんかあるな

ん、足場か?

 

 

 

と、首を伸ばして向こう岸を伺うA氏。

 

 

 

 

???

 

 

日は暮れる。

S子さんは青ざめる。

 

 

 

尋ねてみれば、

 

 

 

 

今は改修工事中でライトアップはされません

 

 

 

 

ウエイター君のつれない返事。

 

 

そんなバカな~!!!

 


 

きれいな川面です。

そして右上方にかすかに見えるのがワットアルン。

 

 

 

本来なら、こんな風に見えるはずだった。

(写真はガイドブックから拝借しました)

 


 

 

 

 

夜景が美しい 〝 暁の寺 ″ だってさ。

 

 

 

ごめん

 

 

小さな声でつぶやくS子さん。

 

 

 

 

そんな~

川沿いのレストランで食事なんて~

気持いいし…

 

 

 

うっ

言葉が続かない。

 

 

 

そうだそうだ。

爽やかで、いい気持ちだよ

それに仕方がないよ

修復工事中なんて、来てみなきゃわからないし

ほら、川面にうつる明かりがきれいだよ

 

 

 

さすがA氏。

言葉がスラスラ出てきます。

 

 

 

 

こうして、S子さんいち押しのワットアルンの夜景見学は終了したのでした。

チャンチャン

(人の失敗は気楽でいいわぁ)

 

 

 

次回は、A氏を襲った悲劇のお話です。

 

(つづく)

 

 

 

 

 

 

「終わりよければすべて」のタイ旅行 ⑦

さて、ここまで〝 終わりよければすべて」のタイ旅行 ″ を

お読みくださったみなさんは、

 

 

ごとうゆみこって、なんちゅう奴やねん

 

ゆみこさんみたいな人とは、旅行に行きたくないわ

 

 

と、もしかして思っていらっしゃいますか?

 

 

こう見えて、わたしは夫と国内旅行に行く際は、

宿の予約や交通手段の手配、観光ルートなど、

旅のスケジュール一切を取り仕切っております。

 

 

もちろん? たまに道は間違えますけど…

 

でも、誰か他にしてくれる人がいるとなると、

そのスケジューリング機能のスイッチ、切ってしまうんですね~

 

すると、今回のようなことに・・・

 

学び多き旅でございました、ホント。

 

 

 

ところで、みなさんは覚えていらっしゃいますか?

 

航空チケットの座席予約の際に、

 

 

画面のよく見える席は、どこですか?

 

 

と、時代錯誤の問い合わせの電話をかけたS子さんのことを。

 

坐骨神経痛を患いながらも、

タイでゴルフをしたいがために必死でやってきた、

あのS子さんのことを。

 

 

 

そうです。

 

彼女だって、中々のもんです。

 

というわけで、次回はS子さんのやっちゃったね話をお届けします。

 

 

(つづく)

 

 

「終わりよければすべて」のタイ旅行 ⑥

初めて見るタイの街並みは、思っていた以上に近代的で驚きました。

そして、その車の量にもまた驚かされました。

 

というわけで、道路は大変な渋滞。

いつも、そうなんだそうです。

 

経済発展に伴う車の増加に、道路の整備が追いついていないんですね。

 

 

 

 

さて、渋滞・渋滞の道のりを終えて、ようやくホテルに着きました。

 

見た感じ、なかなかイケてるホテルです。

 

 


 

 

もぉ~

Aさんたら~

わたしたちが一緒だからって、がんばっちゃってぇ~

 

 

なんて、A氏を茶化しながら、いそいそとホテルに入るわたしたちでした。

 

 

フロントでA氏、S子さんと順番にチェックインを済ませていきます。

 

 

 

 

昨年の7月には、S子さんから教えてもらったサイトを通して、航空チケットとホテルの予約を済ませていたわたしです。

 

プリントアウトしてあった予約票をカウンターに出します。

 

 

 

ん?

 

 

 

フロントマンが、怪訝な顔つき。

 

それを見ていたわたしも

 

 

 

ん?

 

 

 

と怪訝な顔つきになります。

 

 

一体、なにごと?

 

 

フロントマンが、おもむろに言いました。

 

 

これは、うちのホテルの予約票ではない。

 

 

 

はい?

今、なんておっしゃいました?

わたし、英語そんなに達者じゃないんです…

 

 

 

横で聞いていたA氏が言いました。

 

 

 

ゆみちゃんの予約票、ここのじゃないってよ

 

 

 

え~

そんな~

バカな~

まさかでしょ~

 

 

どうも、このホテルはチェーンホテルで、バンコク市内に3つもあるそう。

わたしが予約したのは、このチェーンの別の場所にあるホテルだそうです。

 

 

こちらのホテル、日本人御用達のようで、

わたしたちのすぐそばには、別の日本人のグループがいて、

このやりとりの一部始終を聞かれていました。

 

 

 

恥ずかしい!

恥ずかしい!!

恥ずかしすぎる~!!!

 

 

 

こんなとき、

 

え~!

 

と言って気絶できたら、どんなにいいでしょう。

 

 

どうしよう

 

 

と泣き崩れることができたら、どんなにかいいでしょう。

 

 

そうして気絶や泣いている間に、

みんながなんとかしてくれれたなら…

 

 

気が付いたら、すべてが解決していた

 

な~んてことだったら…

 

 

 

だが

しかし

But

 

 

 

ごとうゆみこ、58歳。

逃げるわけには参りません。

 

にしても・・・です 💦

 

 

 

なんだ、ホテルの名前、ちゃんと確認して予約しなかったのか

 

 

もはやA氏も、大人の対応を忘れたようです。

 

 

 

なんでぇ? ホテルの名前ちゃんと教えたよね

 

S子さんも、驚きを通り越して呆れまくっています。

 

 

 

いや

その

え~っと

○○ホテルのBangkokってのはちゃんと確認した

と、思う…

 

 

 

はぁ?

ホテルの名前の最初と最後しか確認しない人間なんて、初めてだ!

 

 

A氏の言葉に、うなだれるしかないわたし。

こんなふうにうなだれるのは、これで何度目だろう?

 

 

 

まさかバンコクに、このホテルのチェーンが3つもあるなんて知らなかったもんね

Aさんも教えといてくれればよかったのに

 

 

 

S子さん、わたしの憔悴ぶりに哀れを感じたのか、

慰める方針に変えたみたい。

 

 

と安心したとおもいきや

 

 

 

どうする?

一人で予約したホテルに泊まる?

ここから近いみたいだし。

 

フロントに置いてあるホテルのパンフレットを見ながら、

平然と言うS子さん。

 

 

 

お願い

わたしを見捨てないで!

初めてのタイで一人でホテルになんて泊まれない。

だいたい、ゴルフに行くのだっていちいち大変じゃ~ん!

 

 

 

ここで、わたしは腹をくくりました。

 

 

 

もし、このホテルに空いている部屋があるなら、

先に振り込んだ宿泊代が無駄になってもここに泊まるぞ。

 

 

 

A氏が話をしてくれた結果、

 

部屋は空いていること、

泊代はこちらの分に振り替えできること

ただし追加料金は発生することなどが判明。

追加料金は、日本円で4500円ほど。

 

 

払います!

払います!!

払いますとも!!!

 

 

 

フロントのカウンターを飛び越えんばかりの勢いで叫んだわたし。

 

 

はぁ~

生き返った~

 

 

しみじみ空気が体の隅々まで行き渡るのを感じました。

 

 

 

生きているって素晴らしい!!!

 

 

 

 

 

良かった

良かった

 

 

の言葉と共に、A氏さん、S子さん、それぞれに部屋へと去っていきました。

 

しんと静まり返ったフロントに一人残されたわたし。

 

フロントマンが小さな声で囁きました。

 

 

 

あなたの部屋はグレードアップされてますよ

 

 

なるほど

 

そうか

 

つまり、

私の部屋は超得早割用の部屋ではないということね。

 

 

通された部屋は、きれいな上にウォシュレット付き。

 


 

 

瓢箪から駒

 

いや、

 

禍を転じて福と為す

 

か。

 

 

かくして無事チェックインも済ませ、タイの初めての夜は更けていくのでした。

 

この夜、爆睡したことは言うまでもありません。

 

(つづく)