四季島の旅 ⑨

車内で美味しいランチをいただいたあとは、わたしたちは五能線コースに参加。

(もう一つの方は、縄文コースです)

 

新函館北斗駅から北海道新幹線に乗って新青森駅へ。

 

北海道新幹線には初めて乗りました。

車体の色が、わたし好みの美しいグリーンです。

 

そこからバスに乗り換えて、五所川原の立佞武多の館へ。

 

初めて見た立佞武多。

 

そのスケールの大きさに圧倒されました。

 

 

こちらが元になる絵。

 

これを元に、一人の方が半年くらいかけて作成するのだそうです。

なぜ一人で作成するのかというと、頭の中に、細部の設計図があるからだとか。

すごいです。

ぜひ、機会があったら、五所川原の立佞武多祭りを観に行きたいと思いました。

 

 

その後、木造駅からJR東日本のリゾート列車のさきがけ「リゾートしらかみ」に乗車。

 

大変にユニークな木造駅。

 

 

車内でいただいたのは、

 

弘前「オステリア エノテカ ダ・サスィーノ」の前菜と、

 

秋田「日本料理 たかむら」の夕食です。

 

ビールもいただきました。

 

電車は、はっきり言って揺れます。

かなり。

でも、それがまた楽しい。

 

車内での津軽三味線も堪能させていただきました。

 

 

四季島の旅 ⑧

杢の抄での優雅なひと時を過ごしリフレッシュした後は、

山のマルシェへ向かいました。

ホテルのテラスには、足湯もありました。

 

このマルシェは、“ ほんとうに気持ちいいキャンプ場” 2002年日本一に認定されたことのある、

ニセコサヒナキャンプ場にあります。

 

 

「山のマルシェ」というのは、四季島のためにだけ開催される、特別なマルシェ。

 

 

ニセコエリアで育まれた旬の農産物を始めとした特産品の試飲・試食ができ、

気に入ったものがあれば注文をして、後日自宅に戸溶けられるという仕組みです。

 

 

まずは、生産者方や農産物についてのお話を伺います。

 

 

熱く語ってくださいました。

 

 

それから試飲・試食タイム。

 

 

わが家も、いくつか注文してきましたよ。

 

届くのが楽しみです。

 

 

楽しい時間を過ごした後は、洞爺駅から列車に乗り、

函館フランス菓子「ぺシェ・ミニョン」によるランチをいただきました。

 

連載小説『お由布』 その十一

 

   十一

 

「この間のは、どうでした。ね、面白かったでしょう。今度はこれはどうかって、幸さんが」

 いつの間にか、作治を通して幸吉の勧める本を読んでは感じたことを作治に話すのが、お由布の唯一の楽しみとなっていた。

 作治から聞いたところによると、幸吉はもともとは近江の商家の奉公人だったそうだ。

「それがどこでどうなったんだか。今では、一人で江戸と上方を行ったり来たりの仲買人ですよ」

 そう言いながら小指を立てると、いたずらっぽく笑って見せた。

 ほかの者がやると下品に見える仕草も、作治がやるとどこか憎めないのだった。思わずお由布も小さく笑った。

「中にはあくどいことをやってる奴らもいるらしいけど、幸さんはそんなことはしない。評判はいいですよ」

「そう。そうでしょうね。なんかわかる気がするわ。ところで、幸吉さんて、おいくつくらいの方なのかしら」

 幸吉に勧められて読んだ何冊目かの本を作治に返しながら、お由布はさり気なく尋ねてみた。

「歳ですか。歳は……、確かもうじき三十じゃなかったけな。なんなら今度聞いておきましょうか」

「い、いえ、いいのよ。別にそんなこと、わざわざ聞いてもらわなくっても。話のついでに聞いてみただけだから。へえ、そう……。それじゃあ……、それじゃあ、きっと、おかみさんもお幸せでしょうね」

 なぜか胸のあたりが、きゅんとした。

「いや、それがまだ独り者で。あの通りの人柄だから、世話をする人も何人かいたようですけどね。子供の頃に、親でかなり苦労したようで。所帯を持つ気になんてなりゃしないって、いつか蕎麦屋で一杯やった時に、笑いながら言ってたっけ。でも、なんか寂しそうだったね。よっぽど辛い目にあったんでしょうかねぇ。俺なんか、もうこの頃じゃ、女なら何でもいいかって気になってるけどね。誰も世話なんてしてくれやしないし、女の方でも相手にしやしない……ったく、見る目のない女が多すぎるってもんだぜ」

 作治は一人でぶつぶつ言いながらも、楽しそうに帰っていった。角を曲がった、すぐそこの小間物屋の娘と好い仲なのを、お由布は知っていた。帰りに娘の所へ寄っていくつもりがあるからこそ、この家にも足繁くやってきてくれるのだ。

「おや、作治さん、これからお駒ちゃんの所へお出ましかい。よ、色男」

「てやんでぇ、そんなんじゃねぇよ」

「なに照れてんだい。いい年をして、可愛いとこあんじゃないのさ」

「うるせぇ、くそババア。本を借りる気がないなら、おとなしく家に引っ込んでいやがれ」

 外では、長屋のおかみさんと作治との軽妙なやり取りが、しばらく続いていた。

 

 辛いから外に助けを求める人間と、辛いからこそ何も求めなくなる人間がいるのだ。幸さんて人はきっと後者なのだ。わたしは……わたしは、どちらだろう。

 お由布は作治の置いていった本の表紙を、愛しげに心を込めてそっと撫でた。