「マリンブルーな季節 2019」 11

 11

海の ずうっと沖のほうの 

いちばんふかい ところには

人魚の王様の お城があります

王様には 6人の

人魚のお姫様が いました

人魚の お姫様たちは 

15さいになると

海の上に うかびあがる 

おゆるしが もらえます

 

 人魚姫の童話は、こうして始まる。

 末っ子の人魚姫が15歳になって、水の上に浮かび上がっていった時、夕日に輝く雲の下に大きな1隻の船を見つけ、中を覗く。

 そして、着飾った人々の集まるパーティーの中に黒い瞳の王子を見つけ、恋をする。

 自分は18歳になったとき、やっと《おゆるし》を取り付けた。そうして海の上に浮かび上がれば、新しい世界が見えると信じていた。しかし、今の自分は相変わらず海の中にいる。どうしたら、浮かび上がることができるのか。

「どうしましたか」

 すでに聞きなれた声が、耳のそばでした。見ると心配そうに、山内が真奈子の顔を覗き込んでいる。

 今夜、2人は再び東京タワーにいた。

 展望台からは、数え切れないほどのネオンが、夜の東京をその輝きで見せつける。

「人魚姫のお話、知ってます?」

「ああ、魔女に声を差し出す代わりに人間にしてもらうって、あの童話ですね」

 真奈子がじっと、山内を見つめた。

「声を……」

「え」

「声を差し出したら……。私が声を差し出しても、海の、この光の海の魔女は、私の願いを叶えてくれるのかしら」

 それには答えず、山内は眼下に広がるネオンの海を眺めていた。

 これで、もう何度山内と会っただろう。一緒に食事をして、夜遅くまで色々な話をした。アパートまで送ってもらったことも、1度や2度のことではない。しかし、山内は決してそれ以上立ち入ってこようとはしなかった。

 歳の差のせいなのか。自分のことを子ども扱いしているからなのか。考えても考えても答えは出ない。答えの出ないもどかしさに耐え切れず、山内のスマホに電話をかける。電話の向こうの山内は、そんな真奈子の気持ちに気づいているのかいないのか、いつもと変わらぬ優しさで、話し相手をしてくれるのだった。

 山内の沈黙は続いていた。

「そういえば山内さん、出身はどこですか」

息も詰まりそうな沈黙の中で、我慢ができずに真奈子が口を開いた。

「出身? あなたとは反対側、日本海に面した小さな田舎町ですよ」

「へえ。すると東京へは、就職で出てきたんですか」

 短い時が流れた。

「ちょっとね。ま、ちょっとしたことがありまして、居辛くなったっていうか」

「もしかして、女性問題とか」

 冗談を言ったつもりだった。

「……。まあ、そんなところ、ですかね」

 意外だった。

 真奈子は、若さを手放しつつある山内の横顔に、その青春時代の面影を探ろうとした。

「声ねえ」

 唐突に、山内が口を開いた。

「もし、声を差し出したら、変われるんだろうか。ね、そうしたら、変われるんでしょうか。僕はね、僕という人間が決して嫌いではない。嫌いではないけれど、でも変わりたいと、いっそ変われたら楽なのにと願うことも……あるんですよ」

 真剣な眼差しに影が宿っていた。

 2人の視線が出会い、立ち止まり、確かめ合った。

 2人は口を利いてはいけない。いや、口を利くことはできない。光の海の魔女に、声を差し出したのだから。

 どちらが誘ったわけでもない。どちらが誘われたわけでもない。

 2人は無言のまま、東京タワーを降りた。

 ホテルの11階のこの部屋から、ちょうど正面に東京タワーが見える。あの場所で、2人は魔女に声を差し出した。それぞれの願いを叶えるために。

 山内が真奈子の髪に手を触れる。真奈子が山内の胸に体を預ける。山内の唇が真奈子のそれに、恐れるように微かに触れた。真奈子が助けを求めるように、山内の体にしがみつく。

 一瞬の心の停滞。

 決心したように、山内の掌が真奈子のその柔らかな丸みを探す。真奈子の体が震える。掌が探し当てた丸みに……触れる。

 触れた瞬間、手が沈黙した。

 真奈子の心が戸惑う。

「すまない」

「え」

「すまない」

 山内の顔が歪んでいた。

 今にも崩れ落ちそうな、危うい脆さに耐えかねるように、山内の姿は部屋から消えた。

「海の泡になる」

 部屋に一人取り残された真奈子は、自分が再び深い海の底に沈んでいくのを感じていた。

 去って行った山内の背中に、真奈子は初めて、女の影を探った。

 

 

 

つづく

 

死ぬのは怖い!?

 
 
子どもの頃の、ほんの一時期、
 
 
 
 
 
 
が、怖くて怖くて仕方のない時がありました。
 
 
 
 
その頃の
 
 
 
 
 
 
 
のイメージは、
 
 
 
 
 
 
そして、
 
 
 
寒くて
 
 
寂しい
 
 
 
そんなイメージ。
 
 
 
 
 
 
 
 
だから、夜寝るのが怖かった。
 
 
 
寝ている間に死んでしまって、翌朝目が覚めなかったら、どうしようって。
 
 
 
 
 
 
60歳を迎えた今は、
 
 
寝ている間に死ねたらいいじゃん~
 
 
って思うけど……
 
 
 
 
 
いつしか、そんな思いからは、離れていったのですが。
 
 
 
思春期の感傷?だったのかな。
 
 
 
 
 
 
 
死が怖い
 
 
 
を別の方向から見てみると、
 
 
 
寒くない
 
 
寂しくない
 
 
って、なんだろう
 
 
 
ってなる。
 
 
 
 
 
死んで英雄になる
 
 
 
 
とか、そんなんじゃないよ。
 
 
 
 
 
人にどう思われるとか、そんなこと、どーでもいい。
 
 
 
 
死を目前に、
 
 
 
わたし、綺麗?
 
 
 
なんて、ナンセンス。
 
 
 
 
 
あ~、いい人生だった
 
 
 
 
って、思って死ねたら最高。
 
 
 
 
 
 
愛する人々の顔が浮かんできて、その人々に
 
 
 
ありがとう
 
 
 
って言って死ねたら最高。
 
 
 
 

ありがとう

 
 
 
って言って死んでいけたら、素敵だなって。
 
 
 
 
 
 
つまりね、
 
 
 
いかに死ぬかは、いかに生きるか
 
 
 
いかに生きるかは、いかに死ぬか
 
 
 
 
なんだよね。
 
 
 
 
 
だって、この世に生を受けた以上、いつかは必ず死ぬから。
 
 
 
 
だったら、そこまでの道のりに
 
 
 
 
全力投球したい
 
 
 
 
って、そう思うんだよね。
 
 
 
 
 
 

連休明けたら

連休明けから、ご提供させていただくメニュー一覧です。
 
 
詳しい内容は、順次ご紹介いたします。
 
 
 
 

ふんわり風船星『令和』を感じて身につける ふんわり風船星

 

元号のエネルギーは、日本全体を包み込むとともに

そこに住まうわたしたちをも包み込みます。

 

そのエネルギーを

 

感じて

知って

身につける

 

ことで、新たな御代の波に乗りましょう。

 

 

 

ふんわり風船ハート『ことだま幸はへ講座』ふんわり風船ハート

 

幸はふとは、幸運に栄えるという意味です。

ことだまを知って、幸せな人生を創り出していけるようになりましょう。

 

 

『魂が幸はふ』 ことばはじめ

言葉の成り立ちを知り、感性を磨きます。

 

『言葉が幸はふ』ことば育む

日本語の源は、母音にあり!

母音の秘密に迫ります。

 

『人生が幸はふ』ことば成就

体と言葉のつながりを知っていますか?

総ざらいは言挙げで、人生満願成就!

 

 

 


スイーツ『みんなでつくろう語感辞典』スイーツ

 

大人も子供も、みんなでつくろう語感辞典

 

みんな違って

みんないい

 

みんなの感性を持ち寄って、言葉の1ページをつくります。

 

 

 

 

花火『なまえのことだま』花火


あなたの名前は、どこから来たのでしょう。

 

あなたの名前に隠された本当の意味とは?

 

自分を最大限に生かして生きる。

それが、あなたの天命だから。