人生の価値

わたしは、中学3年生の時に、父を急な病で亡くしました。      連載中のプロフィールはこちら※※※

 

そして、その時に決めたことがあります。

それは、

 

命ある限りは、何があっても生きる。

 

ということ。

病気で、あるいは事故で、死にたくなくても死ななければならない人もいるのです。

だったら、生きてる限りは生きよう。

 

そう決めました。

 

もうひとつは、

 

あの時、お父さんが死んでしまったから、こんなふうになっちやったんだ!

という人生ではなく、

あの時、ああいう経験をしたおかげで今がある。

と、思える生き方をしよう。

ということです。

 

どちらも、理屈ではありません。

ふいに、そう思い決めたのです。

 

それが、“ 気づき ” というものなのでしょう。

 

その後も、数々の出来事がわたしの人生に起きました。

 

けれど、どんなに絶望的になったときでも、このふたつの考え方が、わたしを支えてくれました。

 

***

 

人生には、色々なことが起こります。

けれど、出来事は、所詮出来事。

単なる事実に過ぎません。

 

辛かったり悲しかったりしたとしても、それがイコール “ 悪いこと ” にはなりません。

ある出来事が自分の身に起きた時、それを踏まえてどう生きるかは、本人の自由です。

起こる出来事の選択権はなくても、生き方の選択権は、この手の内にあります。

 

父が亡くなった時、わたしは、神様から「この人生を生(行)きなさい」と言われたのでした。

 

けれど、その指し示された道をどう進むかは、わたしの自由。

 

道端の花を愛でながら行くもよし。

バイクに乗って飛ばすもよし。

ヒョコヒョコと横道へ逸れるのも、また有りです。

 

***

 

辛かったり悲しかったりした出来事であっても、それを栄養にできれは、それらは、結果として、自分にとって良い出来事になります。

 

つまり、人生の価値は自分で決めることができるのです。

 

それは、とりもなおさず、自分の価値は、自分で決めることができるということでもあります。

 

 

 

6.父、逝く・・・その3

父が亡くなったのは、年が明けての2月6日です。

あと2か月といわれていたのが、4ヶ月持ちました。

いよいよ危ないということで、数日前から家族全員が病院に泊まり込んでいました。

ある日、病室でみんなで話をしていた時、母が、

 

あ、点滴が減ってない!

 

小さく叫ぶように言いました。

 

すぐに先生を呼びましたが、すでに息を引きとった後でした。

父は、家族の会話を聞きながら、一人静かに旅立ったのでした。

45歳でした。

 

父の葬儀は社葬となりました。

会社の人たちが大勢来て、なにからなにまでやってくれました。

会場となったお寺の前には沢山の花輪が並び、会社の上司や同僚や部下の方たちが、やってきては声をあげて泣きました。

わたしは、男の人が声をあげて泣く姿を生まれて初めて見ました。

 

 

葬式というのは、こういうものなのか

と、どこか他人事のように思っている自分がいました。

中学校のクラスメイトも先生と一緒に葬式に来てくれましたが、わたしは、

 

まるで見せ物だな

 

と思いました。

 

そういえば、お通夜の前の晩だっでしょうか。

お寺で、みんな一緒に寝ました。

それが、とても嬉しかったのを覚えています。

父は遺体となってはいましたが、久しぶりに家族全員が揃ってひとつ屋根の下にいると思うと、わたしは嬉しくてたまらなかったのです。

 

不思議な感情に取りつかれた、不思議な時間を生きていたようです。

 

その後、何年も経ってから、母たちに、

 

あんたは、一番可愛がられて、贅沢に育てられた。

 

と、言われたことが何度かあります。

 

確かに、末っ子のわたしは、父がある程度出世してから生まれたので、経済的に恵まれていたし、末っ子ということでみんなから可愛がられたでしょう。

 

でも、

 

でも、

 

たった15年だよ。

 

わたしは、心の中でそっとつぶやきます。

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***

 

やがて、自分が45歳になったとき、思わずわたしは父に謝りました。

 

お父さん、ごめんなさい!

わたし、45歳になっても、まだこんなだよ!

 

と同時に、こうも思いました。

 

子どもの頃のわたしの目に映っていた父は、いつも堂々として自信に溢れていたけれど、もしかしたら、やっぱり悩んだり迷ったり、不安になったり、揺れていたときもあったかもしれないと。

 

そして、46歳の誕生日を迎えた時は、とうとう父より長生きをしてしまったのだと、なんとも言えない、しみじみとした気持ちになりました。

 

それから、さらに10年の歳を重ねました。

 

この10年の中での変化は、目まぐるしいものがあります。

 

それは、また、これから少しずつお話ししていきたいと思います。

 

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