奈良・京都の旅 その2

奈良と言えば、やはり朝は茶粥かと…

 

 

 

奈良ホテルを出て向かったのは、興福寺。

 

こちらでは、東金堂と国宝館を、それから八角円堂の特別拝観。

 

 

奈良のどこが好きって、やっぱり空の広いところでしょうか。

 

 

お昼は、リストランテ・オルケストラータ

 

 

木箱に入っているのは、オードブルです。

 

サラダもお肉も、美味しゅうございました。

 

 

 

 

こちらのお店は穴場だと思います。

 

 

ここに、そんなレストランがあるなんて、なかなか気づかない。

 

 

 

奈良・京都の旅 その1

ここ数年、旅行社の企画するツアーがお気に入りです。

 

なにせ便利で楽。

 

そのうえ、ガイドさんから色々な話や説明が聞けるので、勉強にもなります。

 

食事も、お店や種類がよく考えられていて、楽しめます。

 

 

 

今回は、奈良・京都へ二泊三日の旅です。

 

新幹線と近鉄特急を乗り継いで、奈良に到着。

 

 

まずは腹ごしらえとばかりに、向かったのは水之江さん。

 

こちらで会席料理をいただきました。

 

 

 

特に稚鮎干しが美味しかった~

 

夜なら、日本酒が進んだところです。

 

さて、美味しいお料理を堪能した後は、薬師寺へ。

 

 

 

まほろば会館で、副執事長・大谷徹奘師の法話をお聞きしました。

 

 

内容は、般若心経について。

 

般若心経の漢訳の中で、最も流布したのが玄奘三蔵のもので、

翻訳は思想なりという観点からのお話は、

とても分かりやすく楽しく拝聴いたしました。

 

6月には、東京でもお話が聞けるようです。

 
 
 
 
 
 
 
そして閉門後の食堂(じきどう)で、奉納雅楽を鑑賞させていただきました。
 
 
 
 
 
 
この日の宿泊は、前から一度泊まってみたかった奈良ホテル。
 
 
 

 
 
 
歴史と風格を感じさせます。
 
 
 

 
 
夕飯は、こちらのレストランでフランス料理をいただきました。
 
 
 

 
 
 
 
 
 

連載小説『お由布』 その一

   一.

 

 下谷池之端。辺りには寺院が数多くあり、その作庭や手入れをする庭師もまた、多数住んでいた。

 お由布の父、由吉もそんな庭師の一人であった。庭師としての腕も良く、仕事も早い由吉は、近隣だけでなく浅草の寺院や両国の料理茶屋にまで、仕事先は広がっていた。両国あたりの料理茶屋では、肝心の料理はもとより座敷や庭の造作までも売り物にしているところが多くあり、そのうちの何件かが由吉の得意先となっていたからである。

 十二月の声を聞くと、俄然仕事が忙しくなる。どこも綺麗に手入れされた庭で正月を迎えたいと望むからだ。冬の日は短い。いくら仕事が早いとはいえ、それなりに広い庭であり、注文もうるさい。大切な得意先の仕事に手抜きは禁物とばかり精を出していると、あっという間に日が暮れる。勢い仕事に出かける時間が日に日に早くなる。冬の厳しい冷え込みの中、毎日それこそ休む間もなく由吉は庭の手入れに回って歩いた。

 

 ようやく六つになった一人娘のお由布が、最近とみに愛らしさを増してきた。晴れ着を新調してやるのは無理にしても、何か一つくらい新しいものを身に付けて、新年を迎えさせてやりたいと思う。そのために少々の無理を重ねるくらい、由吉にとってはなんでもないことだった。

 その日、お由布はいつもよりずっと早く目が覚めた

「おとっつぁん」

 寝ぼけ眼で声を掛けると、今まさに仕事に出かけようとしていた父が嬉しそうに振り返った。

「おう、お由布、起きたか。仕事納めの日にちゃんと早起きして見送ってくれるなんざ、おめえは優しいな。今日は浅草まで行くから、土産に赤い玉簪を買ってきてやるぞ。正月に髪に飾るといいや」

 簪と聞いて思わずお由布は、父の側に走り寄った。

「赤い玉簪? わあ、うれしい。きっと、きっとだよ。ねえ、きっとだよ。約束だよ」

 いつまでも父にまとわりついて離れないお由布を、

「お由布、おとっつぁん仕事に行けないだろ。ほら、こっちにおいで」

と、母が笑いながら引き寄せた。

「ああ、きっと。約束だ。楽しみに待ってるんだぜ。じゃあ、行ってくるからな」

 由吉がお由布の頭をぽんぽんと軽く叩きながら、優しく笑った。そうして、道具箱を右の肩にひょいと担ぐと「じゃあな」と言って、出かけていった。

 母と見送った、父の笑顔と大きな背中。

 十二月二十五日の仕事納めの朝だった。今日は久しぶりに暖かくなりそうな、そんな一日の始まりだった。

 母は、先日古着屋で買ってきた着物を丁寧にときほぐして、洗い張りにした。お由布の正月用の晴れ着に仕立て直すつもりなのだ。うまくいけば今日のうちに乾くだろう。その間にと、母は父の仕事着の繕いを始めた。お由布は側で手習いのおさらいをしていた。正月五日の書初めで、また先生に褒めてもらいたかった。

「ぁ」

 小さな声に目を上げると、母が指を口にくわえていた。針を刺したらしい。裁縫の上手な母にしては珍しいことだった。

「おー、嫌だ嫌だ。折角の着物が汚れちまう」

 母が、流しの方へ行こうとしたその時、突然叩きつけるように扉が開いて、一人の男が転がり込んできた。男は、向かいに住んでいる大工見習いの源七だった。

「た、大変だ」

 息も切れ切れの源七の顔が涙でくしゃくしゃに歪んでいる。

「い、いきなり飛び込んできて、何だって言うのさ」

 ただならぬ源七の様子に、母の顔から血の気が引いていた。

「由吉さんが、由吉さんが……」

 後は声にならない。その場にしゃがみこんで泣くばかり。

「え、なんだって、うちの人がどうしたっていうんだい」

 母が聞きただそうと源七の方へ行きかけると、表から大勢の乱れた足音が聞こえてきた。足音は近づいて来て、そしてお由布の家の前で止まった。憔悴しきった大工の親方と、その後ろには数人の手によって担がれた戸板が見えた。

 その日、由吉は浅草の寺で仕事をしていた。源七もまた、親方とともに同じ寺に修繕の仕事に来ていた。お互いに「朝早くから大変だね」と笑顔で挨拶を交わし、由吉は道具箱の前にしゃがみこんで必要な道具を取り出し立ち上がろうとした刹那、突然うめき声をあげて胸のあたりを押さえたかと思うと、その場に突っ伏した。驚いて駆け寄ると、小さく体が震え、そして動かなくなったのだという。

「帰りに、お由布ちゃんに赤い玉簪を買って帰るんだって、嬉しそうに話していたんだよう」

 言うなり、また源七は泣き崩れた。

「そんな、ばかな。うちの人に限ってそんな、ばかな、ばかな…」

 母は、ずっと同じ言葉を繰り返していた。

「おとっつぁん、どうしたんだい」

 布団に横たわる父の顔には、白い布がかけられている。声を掛けてみても、返事はない。

「おとっつぁん、簪は。赤い玉簪、買ってきてくれたかい。どこにあるんだい。お由布の簪」

 父の身体に触れると、その冷たさに驚き傍らの母にしがみつく。

「お由布。おとっつぁんは、もう簪を買っては来れないんだよ。いいかい、分かったかい。しっかりおし」

 母が、お由布を強く抱きしめた。

 年末の押し詰まった頃だというのに、長屋の住人は嫌な顔一つせずに、葬式を手伝ってくれた。

 大晦日から降り出した雪は、元日には辺り一面を白く埋めていた。それでもなお、雪は音もなく、静かに降り続けた。

 お由布の晴れ着は、ついに仕上げられることはなかった。そして、赤い玉簪もまた、お由布の髪を飾ることはなかった。

 家の前の軒下にうずくまって、お由布は白い息を吐いた。外の雪景色は、確かにお由布を凍えさせた。しかし、家の中はそれよりもっと冷たい空気に満たされていた。葬式が済んでから寝込んだ母は、今もまだ布団の中にいた。

 

 

  つづく