思いつきのひと言

久しぶりに、朝の情報番組を見ていたら、国会議員によるガン患者へのヤジを扱っていました。

 

 

かつてヘビースモーカーの上司の元で働いていたことがあります。

 

すでにその頃、職場での喫煙は禁止。

タバコを吸いたければ、喫煙コーナーまで行かなければならなかったのですが、彼は平気で席でタバコを吸っていました。

 

わたしがいた財団は、ワンフロアを使っていたので、他者の目が届かないというのもあったと思います。

 

 

わたしも、入ったばかりで何も言えませんでした。

 

 

ある時、わたしは風邪気味で出勤し、咳が出たことがあります。

 

すると、わたしのすぐ横に座っていた、その上司は、全く気にする様子もなくタバコに火を付けました。

 

 

その煙で、わたしは激しく咳き込みトイレに駆け込みましたが、上司は意に介さず。

 

 

上司の人間性を疑った瞬間でした。

 

 

 

 

自分と向き合うことで幸せになる

旅に出る少し前に、知り合いの娘さんが離婚したと聞きました。

 

でも、彼女には協力な助っ人がいました。

 

彼女の母親です。

 

経済的に弱い彼女は、実家の援助を受けながら、その近くにアパートを借りて一人暮らしを始めたそうです。

 

困った時に助けてくれる人の存在は、とてもありがたいものです。

 

でも……

 

と、わたしは思います。

 

その助けが、

 

いいよ、いいよ。援助してあげるから、あなたは何も考えなくても

 

だと、ちょっと違うかなぁと思うのです。

 

できるなら、

 

しばらくは援助してあげるから、この機会に、これからの人生についてよく考えなさい

 

であって欲しいと思います。

 

 

もちろん、人生は人それぞれ。

 

どんな生き方がいいかなんて、一概には言えません。

 

けれど、自分の人生について考えることは、自分自身と向き合うことであり、それは人生を好転させる絶好の機会です。

 

 

ちなみに、この娘さんは、まもなく40歳だそうです。

 

連載小説『お由布』 その八

 

   八

 

   得意先を回ったあとで丁稚を先に店に帰すと、清之助は一人茶屋の店先に座っていた。目の前を多くの人々が通り過ぎていく。もちろん夫婦連れも。

   清之助にとって、十五も歳下のお由布はいつでも頼りなくて危なっかしいのであった。それが清之助の気がかりであり、また愛しいと感じるところでもあった。だから、お由布の顔を見るとつい何か言いたくなる。

 守ってやりたいと思うことは、裏を返せば干渉することであり、また支配することでもあった。清之助の愛情は、常にそういった形でお由布の上に注がれていた。

 その上、日を追うごとに、年を重ねるごとに増してくる仕事上の責任が、だんだんと清之助を気難しい男にしていった。その気疲れが、大きなため息となってお由布の上に覆い被さっていく。

   清之助とて、お由布のことを大切に思わないわけはない。しかし、幼くして親元を離れ、表ばかりか裏までも男の奉公人で占められている江戸店で、ひたすら仕事に励んできた清之助には、女のことが実はよく分からずにいたのである。

「支配人になったのだから、妻を迎えてはどうか。その方が仕事にも身が入ろう。誰か思う人はいないのか」

と聞かれ、かつての日野屋での会食の際に見かけたお由布のことを話したところ、とんとん拍子に話がまとまったのが、この度の嫁取りであった。

 

   大店での奉公は、その修行の厳しさに丁稚のうちに三分の一が脱落していく。無事、手代から番頭にまで出世してきても、酒におぼれて身体を壊したり、女ができて出奔した者。数え上げればきりがない。そんな世界を目の当たりにしてきた清之助は、ただひたすら真面目に働いてきた。だからこそ、今ここにこうして居られるのである。それが清之助の自負であり、支えであった。そうでなければ、酒もやらず、女遊びにも走らずに生きてきた自分の人生が、あまりに情けない。

   お由布との縁談が進んでいく中で、幼くしてふた親を亡くし、早くから奉公に出たという生い立ちを聞いて、そういう娘とならやっていけるだろうと思った。しかし、生身のお由布からふとした折に顔を覗かせる負けん気の強さややんちゃさが、清之助を戸惑わせた。それさえなければ、お由布は可愛い嫁であった。だから、その邪魔者をお由布の中に封じ込めようとした。封じ込んでおくうちに、それは自然と消えていく。そういうものだと信じていた。

   だが、どうしたことだろう。表面的には姿を見せなくなったそれらが、時折ゆらゆらと陽炎のような気配だけを忍ばせる。

   清之助は考えあぐねていた。今更これまでのやり方を変えることなどできはしない。そんなことをしたら、清之助のこれまでの人生までもが、足元から崩れていってしまいそうだった。そんなことはできない。できないのだ。

「お勘定、ここに置くよ」

 店の奥に声をかけ、何かを吹っ切るように湯飲みを置くと、清之助は店へと戻っていった。

 店の亭主が、不思議そうな顔で見送っていた。