17.短大入試当日

国公立なら上の学校に行かせてあげる。

 

高校3年生になった時に、母から言われた言葉です。

母子家庭にあっては、私立の大学に進むとなれば、その経済負担はかなりなものになります。

母の言うことももっともだと、わたしは国立大学と公立の短大のふたつを受けることにしました。

国立大学の方は、以前から行きたいと思っていた遠方の大学。

短大の方は、国立一本ではさすがに心もとないし、仕方なく近場でどこか…と選んだところ。

思い入れが全く違います。

さて、その思い入れの全くなかった短大の入試当日のお話。

 

* * * * *

 

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わたしは、これまでの長い人生の中で、寝坊というものをほとんどしたことがありません。

元来が神経質なのでしょうか?

たいてい、目覚ましのなる直前に目が覚めます。

そして、朝ごはんを抜いたこともありません。

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なにはなくとも朝ごはん

という環境で育ったのです。

ところが、短大の入試当日の朝、あり得ないことが起こってしまいました!!

なんと朝寝号をした挙句、朝ごはんを食べることもできないまま短大の入試を受けることになってしまったのです。

 

* * * * *

 

生まれて初めて朝ごはん抜きで家を出たわたし。

最初の数学は何とかクリアしましたが、次の英語は苦手な上に空腹で、どんな問題でなんと答えたか、試験の直後ですら全くきれいさっぱり覚えていないほどでした。

さて、昼食を食べて一段落したあとは得意の国語。

こちらは、難なくクリア。

そして、最後は社会科。

 

ところで、この日は夕方から体操の世界選手権のテレビ中継のある日でした。

入試は、30分経過したら部屋を出ることができます。

最後の社会科を30分で終わらせてダッシュで帰れば、テレビ中継に間に合うという計算です。

なんせ、全く思い入れのない短大の入試です。

 

入試より体操の世界選手権!!

 

という意気込みで、最後の社会科に取り組みました。

真剣に集中して問題を解き、慌て者のわたしとしては本当に丁寧に見直し、そして30分経ったところで退室。

ダッシュで校門へ向かいました。

が・・・

恐ろしく方向音痴のわたしは、さして広くもない校内で、道に迷ってしまったのです。

だって、全く思い入れのなかった短大です。

入試前の下見すらしていなかった~

 

出口はどこだ!

 

頭の中は,完全にパニック状態です。

尋ねようにも、まだ試験の真っ最中で、辺りには誰もいません。

 

体操のテレビ中継が~!

 

必死になって走り回り、ようやく出口を見つけ、そこから駅まで猛ダッシュで突っ走り電車に飛び乗りました。

ところが、そうまでして乗った電車は、普通電車。

本来は急行電車に乗らなければならなかったのです。

普通電車に乗っていたのでは、いつになったら帰ることができるのやら…

 

体操のテレビ中継が~!!

 

泣きそうになりながら、途中の駅でようやく急行に乗り換えることができ、

ヨレヨレになって帰宅。

すぐにテレビのスイッチを入れました。

体操世界選手権のテレビ中継は、始めの方こそ見逃したものの、ほぼ見ることができました。

これって、めでたしめでたしなのかしら?

 

結局、希望した大学には落ち、全く思い入れのなかった短大に通うことになったのですから、人生というのは面白いものです。

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