39.お金をつくる

わたしが東京で住むことになったのは、築20年くらいの4階建てマンションの4階角部屋。

約30㎡の1LDK。

エレベーターはありません。

最寄りの駅から徒歩10分強。

*ただし、わたしは歩くのがとても早い。

 

駅前には大きなショッピングセンターがあり、ほとんどのものはここで手に入れることができます。

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夕方になると地下の食品売り場のお惣菜が半額になるので、残業で遅くなった時など重宝しました。

玄関を挟んで右手がキッチンで、幹線道路に面して出窓になっていました。

左手が、リビングと和室で、小さなベランダつき。

ベランダ側が南になります。

ベランダの下には、大きな養護施設の庭が広がっていて、上から見ると木々の緑も気持ちよく、外部から人が入ることがないので静かだし、防犯上も安心でした。

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一間半分ついていた押入れはクローゼット代わりに利用。

トイレとお風呂は別です。

家賃は5000円まけてもらって、月8万円。

管理費が月1500円と格安だったのは、大家さんが近くで大きな金物屋をやっていて、マンションのメンテナンスは、すべて管理人さん自らがやられていたからです。

これが、新たに始まる東京生活の拠点です。

 

さて、上京するにあたり、準備しなければならないものが・・・

 

それは、お金です。

礼金と敷金、そして引っ越し代。

母や姉に言えば出してくれたかもしれません。

でも、できれば自分で何とかしたいと思いました。

自分の身の回りで、唯一お金になるもの、それは軽自動車。

一応、人気の車種だったので売れるという確信はありました。

しかし重要なのは、その金額です。

礼金、敷金、引っ越し代を賄える金額で売る必要がありました。

車を売るなら中古車屋さん。

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そして中古車屋さんとくれば、保険の代理店。

わたしは、昔からよく知っている保険の代理店さんに連絡をしました。

若いころテニスやスキーを共に楽しんだ仲間の一人で、わたしたちにとっては兄のような存在の人です。

事情を説明すると、彼は

 

わかった。少し時間をくれ。心当たりを当たってみるから。

 

と言ってくれました。

数日して彼から、いい中古車屋が見つかったとの連絡を受けました。

日時を打ち合わせて、自ら車を運転して行きました。

この時ほど、緊張したことはありません。

今もし、ここで車に傷を付けたら値段が下がる。

そう思うと、慎重に慎重を重ねて運転せざるを得ません。

かつての結婚生活の中で、いつ死んでもいいと思いながら車を走らせていた日々が嘘のようです。

手に汗握る思いで車を運んでいきました。

通常車の買い取り代金は、後日口座に振り込まれるのが普通です。

けれど、代理店さんから事情を聞いていた中古車屋さんは、その場で、わたしが必要とする金額ピッタリを現金で払ってくれました。

 

これが、別の色だったら(こちらの色の方が人気があった)、あと10万上乗せできたんだけどね。

 

中古車屋さんは言いました。

 

お願いだから上乗せして!

 

とはね、さすがに言えませんでしたよ。

 

こうして,

行きはハンドルをしっかり握っていき、帰りは現金をしっかりと握りしめて帰ってきました。

上京する準備は整いました。

 

いざ、東京!

いざ、新生活!!

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 ◎◎◎ ⏪ 前 続く⏩ ●●●