21.人生初のイジメに遭う

わたしが短大を卒業するころは、バブル前夜ともいうべき時代でした。

わたしの住んでいた名古屋では、女子の採用のメインが高卒から短大卒へと移行していた頃であったのもラッキーでした。

わたしは運よく大手損保に採用が決まりました。

 

就職したら、家に生活費を入れること。

嫁入り資金も自分で貯めること。

 

就職を目前に母から言われた言葉です。

収入の面からも、福利厚生の面からも、願ってもない大手損保への就職でした。

当初、わたしが配属されたのは、四日市支店の支店長席でした。

 

名古屋から四日市に通うのはかなり大変でしたが、職場環境もよく毎日楽しく仕事に励んでいました。

 

1年経った頃です。

わたしとは逆に、四日市から名古屋支店に通っていた人が体調を崩し、わたしと交換ということになりました。

名古屋支店の新しい職場は、課長と副長以外は女性のみという部署でした。

 

そこで遭遇したのは、先輩Aさんによる酷いイジメでした。

 

まず、挨拶など声をかけても、絶対に返事がしてもらえない。

わたしがどんなに忙しくて、Aさんがのんびりしている時でも、鳴った電話には決して出てくれない。

二人の間にある引き出しの下の段を開けている時に、上の段を突然開けられる。

etc  etc …

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特に悲惨だったのは、Aさんがわたしの教育係だったことです。

異動に伴い、職種も変わったので、わたしはAさんに仕事を教えてもらわなければなりませんでした。

そのAさんからのイジメ。

もちろん、仕事もまともに教えてはもらえません。

わたしの心の中にはAさんへの恐ればかりが膨らんでいきました。

そんな中で仕事を教わっても、覚わるわけがありません。

わたしは、ミスを連発しました。

それに対して、またAさんの機嫌が悪くなるという悪循環に完全にはまっていったのです。

 

わたしは、それまでの人生でイジメを受けたこともなければ、イジメたこともありません。

だからでしょうか、これがイジメだと氣づくまでに、しばらく時間がかかりました。

 

これは、何かの間違いだ。

きっと、そのうち誤解が解けて仲直りできる。

 

ずっと、そう信じていました。

ところが・・・

 

その課には、みんなで積み立てをして、年に一回社員旅行に行くという習慣がありました。

その時は、Aさんの強い要望で京都に行きました。

後で知ったことですが、Aさんには付き合っている彼氏がいて、その彼氏と京都デートを楽しむ計画だったようです。

 さて社員旅行から帰ってきてから、数日後のこと。

Aさんが、他の先輩と笑顔で何やら話していました。

 

上手く出来なくてさぁ~

 

そんな言葉が聞こえてきました。

と、同時に、わたしの目にゴミ箱の中の一枚の写真が・・・

 

ゴミ箱に捨てられていたのは、社員旅行で撮った集合写真でした。

そして、その写真の中のわたしの顔だけが切り取られていたのです。

 

もう、この人とは決して分かり合えないし、仲良くもなれない

 

と、思い知った瞬間です。

 

やがて、朝の出勤時、地下鉄に乗っていると、胸の辺りが苦しくなるようになりました。

 

あ~、これが話に聞いていた出社拒否症というやつなのかなぁ~

 

頭の中で、ぼんやりと考えながら会社へ向かう日々の始まりでした。

 

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